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家賃が入金されない?!
未納が2か月継続した場合には、弁護士への相談を開始しよう
家賃未納は不動産オーナーを悩ませる問題の一つです。
長期化すると回収が困難になります。滞納が発生した場合には、迅速な督促を心がけましょう。具体的には、滞納発生の翌日中には賃借人に電話連絡をして、支払を促しましょう。
家賃未納が2か月継続した場合には弁護士に予め相談しましょう。家賃未納が3か月に達した場合には、建物明渡しの是非を判断した方が良いでしょう。
本ウェブサイトでは、家賃未納を理由とした建物明渡請求・家賃回収について、様々なコンテンツをご用意しております。是非、ご覧ください。
入居者が行方不明!夜逃げに対する対応
荷物を無断で処分すると損害賠償請求を受けるリスクがある
入居者が残置物を放置したまま行方不明になったというトラブルがあります。無断で残置物を処分することは、違法な自力救済と評価されます。
実際の裁判例においても、入居者が無断退去したと考えて貸主側が残置物を処分し、後に入居者から損害賠償請求を受け、賠償が認められてしまったという事例が存在します。
自力救済の裁判例では、貸主側が入居者から過大な賠償を請求される事例が散見されます。過大な請求に対しては、適切に訴訟で防御すれば、妥当な金額に減額できるでしょう。
しかし、訴訟で防御するための弁護士費用が必要となってしまいます。自力救済の対応を依頼した場合の弁護士費用は、建物明渡に要する費用より高額になる可能性があります。
入居者が行方不明になった場合、賃貸人としては訴訟手続と強制執行によって建物明渡を実現しましょう。本ウェブサイトの「入居者が行方不明・夜逃げした場合の対応」、「自力救済行為を行った場合の損害賠償」もご覧ください。
ペット禁止アパートで野良猫を飼っている?!
ペット禁止の特約違反により契約を解除できる可能性がある
アパートの賃貸借契約の多くには、ペット禁止の特約がついています。それにもかかわらず、賃貸人に無断で賃借人が野良猫を飼育しているといったトラブルが発生することがあります。
無断のペット飼育は他の入居者からのクレームに繋がり、原状回復費用の増加も見込まれます。オーナー様としては容認できない問題でしょう。家賃保証会社による対処が難しい問題であり、弁護士への相談が適切です。契約を解除できる可能性もあります。
弁護士と協議しながら慎重に対応を検討しましょう。本ウェブサイトの「ペット飼育禁止特約の違反を理由とした明渡し」もご覧ください。
迷惑行為にお困りの方は弁護士に相談しよう
ペット禁止特約違反に限らず、入居者の迷惑行為を理由に契約解除ができる事例があります。
迷惑行為が問題となる事案では、入居者が自己を正当化する主張を繰り返すこともあり、賃貸人ご本人が交渉することは困難かもしれません。しかしながら、賃料滞納以外の迷惑行為の場合、家賃保証会社では対応できません。
また、不動産管理会社が退去交渉を行うのは非弁行為と判断されるリスクがあります。迷惑行為にお困りの方は、是非、弁護士への法律相談を検討した方が良いでしょう。本ウェブサイトの「近隣迷惑行為を理由とした建物明渡」もご覧ください。
アパートの建て替えを計画中。賃借人から法外な立退料を請求された。払う必要があるの?
賃貸借契約の更新拒絶には立退料が必要
建替えを理由にオーナー様が賃借人の退去を希望することがあります。
しかし、多くのアパートの賃貸借契約は普通借家契約にカテゴライズされます。
普通借家契約の更新を拒絶するためには、①契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知を行い、②更新拒絶に正当事由が認められる必要があります。
正当事由が認められるためには、一般的に立退料の支払が必要です。
そして、立退料の多寡を巡って紛争になることがあります。
立退料の交渉は弁護士に依頼
更新拒絶にあたって、法外な立退料を要求する賃借人も存在します。
賃貸人としては立退料を適正妥当な金額とすることを目指して交渉します。事案によっては、訴訟を提起し、立退料の金額を裁判所に認定してもらい、立ち退きを目指すこともあるでしょう。
立退料については、絶対的な算定基準が存在するわけではありません。裁判例も一様ではありません。
弁護士に依頼の上、慎重に段取りを進めていくべきです。本ウェブサイトでもコンテンツを用意しておりますので、是非、ご参照ください。
期間中途の退去には入居者の同意が必要
上で挙げたのは、期間満了時に更新拒絶を行う事例です。これに対し、期間中途で入居者を退去させたいという相談を受けることもあります。
しかし、原則論として、期間中途の退去には、入居者の同意が必要です。
入居者が同意しない限り、立退料をどれだけ積んでも法律上強制的に建物明渡を実現することはできません。この点を踏まえて、入居者と交渉する必要があります。
まさかの事態?!アパート内での自殺
自殺によって告知義務が発生し、家賃収入減額の不利益を受ける
賃借人の自殺は問題となるトピックの一つです。自殺の事実は、原則、賃貸借契約締結にあたっての重要事項説明において、入居希望者に告知することが要求されます。
そのため、通常の家賃では入居希望者を見つけることができず、アパートオーナーは家賃収入が減少するという損害を蒙ることになります。
相続人は相続放棄が可能
賃借人の自殺は、賃貸借契約における善管注意義務違反と評価され、賃貸人は賃借人に対し債務不履行に基づく損害賠償請求権を有します。
原則、賃借人の損害賠償債務は相続人に承継されます。しかし、相続人が相続放棄した場合には、相続人への賠償請求は困難となります。
連帯保証人への請求が適切だが、契約書の記載内容を事前に整えておく必要がある
一方、連帯保証人は、相続放棄によって連帯保証債務を免れることはできません。
賃貸人としては、連帯保証人への請求を念頭に置くことになります。
ただし、2020年4月1日施行の民法改正を踏まえて賃貸借契約書の記載を整えないと、連帯保証人へ請求できなくなるリスクがあります。ご不安な方は、弁護士へのリーガルチェックの依頼をご検討ください。
部屋から異臭。中で高齢者の賃借人が孤独死していた・・・
孤独死の発見が遅れると原状回復費用がかかり、告知義務も生じる
アパートで高齢者が、孤独死することは珍しくありません。発見が遅れた場合、特殊清掃が必要となり、高額の原状回復費用を要します。
発見状況次第では、物件の転売や新たな入居者への賃貸にあたって、告知義務が発生します。そのため、オーナー様にとっては手痛い損失となります。
自殺の証拠が無いと相続人や連帯保証人への賠償請求は難しい
上述のとおり、賃借人の自殺は善管注意義務違反と評価されます。
しかし、病死や自然死は善管注意義務違反と評価しないことが一般的です(自身が程なく病死することを賃借人が予見していたという例外的な事情があれば賠償請求の余地があります。しかし、そのような事例は稀でしょう。)。
そのため、自殺の証拠が無い場合、病死や自然死の可能性を払拭できず、オーナー様が賃借人の相続人や連帯保証人に損害賠償請求を行うことは困難です。
孤独死保険への加入・管理会社との連携が大切
孤独死の発見が遅れてしまうと、オーナー様には手痛い損失が発生します。誰かに損害の賠償を求めることも困難です。現実的な対応として、孤独死保険への加入が考えられます。
また、管理会社と連携の上、定期的な安否確認を行うことも大事でしょう。
建設業者に建物建設目的で更地を貸したら地中埋設物が出てきてしまった。埋設物の撤去費用は誰が負担する?!
地主が責任追及を受けるリスクがある
更地を業者に貸した後、契約時に想定していなかった地中埋設物が発見され、トラブルになることがあります。
このような事例では、更地の地主は、借地人から、契約不適合責任という制度に基づき、損害賠償請求などを受けるリスクがあります。
賃貸借契約書の文言が大事
このようなリスクを避けるためには、賃貸借契約書において、契約不適合責任を免責する旨の条項を設けることが考えられます。不安な方は、弁護士に土地の賃貸借契約書のリーガルチェックを依頼してみると良いでしょう。
実際のトラブルも弁護士に相談
トラブルが生じた場合であっても、事実関係に照らして、本当に契約不適合責任を負うのか、請求された金額は妥当なのかなどを検討することが大切です。少しでも負担を軽減できないか、弁護士に相談した方が良いでしょう。
※2023年1月執筆当時の情報を前提としたものです。
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