期間満了による立退きを請求したい方へ

期間満了による立退きを請求したい方へ

子供と同居して老後の面倒を見てもらうために、賃貸中の貸家を返してもらいたい…

築年数が古く耐震性が不安なオフィスビルを建て替えたい…

陳腐化して賃料も低いアパート・マンションを建て替えたい…

このようなお悩みをお持ちの不動産オーナー様はいらっしゃいますか?

もしくは、オーナー様からの相談を受けているハウスメーカーの方、デベロッパーの方、不動産管理会社の方はいらっしゃいませんか?

本ウェブページでは、期間満了を理由として、入居者・テナントに退去してもらいたいとお考えの方に向けた情報を提供しております。

1 期間満了を理由とした立ち退きには正当事由が必要です

アパート・マンション・オフィスビルの賃貸借契約の多くは、法律上、普通借家契約と呼ばれるカテゴリーに属します。

普通借家契約を期間満了により終了させるためには、更新拒絶に正当事由と呼ばれる事情が認められる必要があります(借地借家法第28条)。

なお、定期建物賃貸借契約の場合には正当事由は不要となります。

2 正当事由が認められるには立退料が必要です

立退料無しに正当事由が認められるのは極端な事例に限られています。多くの裁判例では立退料の提供が必要とされております。

詳しくは、本ウェブサイトの「借地借家契約の更新拒絶における正当事由」の記事にて紹介しておりますので、ご参照ください。

3 居住用物件の立退料は数十万円~200万円以下が中心です

居住用物件の立退料は、近年の裁判例に照らすと、数十万円~200万円以下が中心です。

ただし、賃貸人側の必要性が乏しく、賃借人側の必要性が高い事案では総額400万円以上の立退料が命じられた裁判例がありますので、注意が必要です。

詳しくは、本ウェブサイトの「立退料の相場」の記事にて紹介しておりますので、ご参照ください。

4 事業用物件の立退料は数百万円、1000万円~3000万円、1億円以上と様々な認定が行われています

事業用物件の立退料は、近年の裁判例に照らすと、数百万円、1000万円~3000万円、1億円以上、極端なものでは6億円以上と、玉石混交の認定が行われています。

事業用物件の立退料の算定においては、以下に挙げるような項目を合算することがあるため、事業規模に応じて、立退料が変動することになります。

  1. 引越業者に支払う引越料
  2. 礼金、仲介手数料など、賃貸借契約開始時の諸費用
  3. 引越先での内装や設備の設置費用
  4. 事業所移転に伴う、許認可・商業登記変更関係の費用
  5. 事業所移転に伴う、宣伝広告費や取引先への通知費用
  6. 休業中の営業利益の補償
  7. 休業中の従業員への休業補償費用
  8. リース料、保険料など休業中も発生する固定費相当額

詳しくは、本ウェブサイトの「立退料の相場」の記事にて紹介しておりますので、ご参照ください。

5 立退料の金額は賃貸人・賃借人双方の必要性の強弱により左右されます

やや不正確な言い方になってしまうかもしれませんが、正当事由は、①賃貸人側の物件使用、建て替え等の必要性と、②賃借人側の物件使用の必要性を、建物の現況や利用状況、賃貸借契約における従前の経過といった諸要素を考慮しながら見比べ、賃借人側の不利益を補うだけの③立退料の提供があれば、認められます。

そのため、①賃貸人側の必要性が高度で、②賃借人側の必要性がそれほどでもないことを主張立証することに成功すれば、③立退料の金額は低めに認定される可能性があります。

詳しくは、本ウェブサイトの「借地借家契約の更新拒絶における正当事由」の記事にて紹介しておりますので、ご参照ください。

6 更新拒絶は期間満了の1年前から6か月前までの間に行う必要があります

普通借家契約の更新を拒絶するためには、㋐期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶を賃借人に通知し、㋑期間満了後も賃借人が入居を継続していた場合には遅滞なく異議を述べる必要があります(借地借家法第26条)。

この期間満了の1年前から6か月前という期間を逃すと、一気に立退きが難しくなるリスクがあります。この期間を逃さないように、早めの準備を心がけましょう。

7 更新拒絶前からの証拠固めが重要です

正当事由の有無を判断するにあたっては、更新拒絶時点で、どれだけの証拠が存在するかが極めて重要です。更新拒絶後に、新たに作成した見積書や計画書は、いざ裁判になると役に立たないことがあります。可能であれば、賃貸借契約の期間満了の1年半前から、専門家への相談を開始した方が良いでしょう。

なお、本ウェブサイトの「期間満了による明渡しの流れ」の記事も併せて、ご参照ください。

8 交渉での立退きが困難な場合には訴訟を提起することになります

更新拒絶の通知を行った後、賃借人と立退きに向けた交渉を行うことになります。

交渉が決裂するようであれば、建物明渡訴訟を提起し、裁判所において、正当事由の有無や立退料の多寡について主張立証を行っていくことになります。

そして、裁判上の和解を成立させる、立退料の支払と引換えに賃借人に建物明渡を命じる判決を取得するなどして、退去実現を目指していくことになります。

詳しい流れは、本ウェブサイトの「期間満了による明渡しの流れ」の記事にて紹介しておりますので、ご参照ください。

9 弁護士に相談・依頼することができます

期間満了を理由とした建物明渡請求は、正当事由の主張立証、立退料の算定といった専門的知識を要します。

早めに法律相談に行って弁護士の見解を聞くべきであり、ご不安であれば、交渉や訴訟を依頼することができます。

オーブ法律事務所の弁護士は、期間満了を理由とした建物明渡しの法律相談・ご依頼に対応いたします。

不動産オーナー様による法律相談のご予約はもちろんのこと、オーナー様との法律相談をご希望のハウスメーカーの方や、不動産管理会社の方、デベロッパーの方からのご予約も受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

なお、弁護士費用は本ウェブサイトの「建物明渡の弁護士費用」のページに記載しておりますので、ご参照ください。

※2023年1月執筆当時の情報を前提としたものです。

本記事の記載内容に関して当事務所・所属弁護士が何らかの表明保証を行うものではなく、閲覧者が記載内容を利用した結果について何ら責任を負いません。

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