Archive for the ‘解決事例’ Category
【解決事例】裁判で未払請負報酬を回収した事例
この実績例に書かれている内容(目次)
1 ご相談概要
2 解決までの道のり
3 弁護士のコメント・感想
1 ご相談概要
依頼者は建設業者の方でした。ご相談内容は公共施設の建設工事を巡るトラブルでした。
依頼者は、下請として、工事を受注し、工事を完成させました。
しかし、元請が請負報酬の一部を支払ってきませんでした。
元請の言い分は、依頼者がするべき仕事をしなかったため、代わりに元請が仕事を行い、かかった費用を清算したというものでした。
依頼者は納得ができず、オーブ法律事務所に相談にいらっしゃいました。
2 解決までの道のり
弁護士瀬川が依頼者から依頼を受け、元請に対し、請負報酬の支払を求める内容証明郵便を送付しました。
しかし、元請は一切支払わないとの回答でした。
依頼者と協議の上、元請に対し、訴訟を提起することになりました。
約2年半、地方裁判所で審理が続きました。
その結果、依頼者の言い分が一部認められ、元請に約500万円の支払を命じる判決が言い渡されました。
元請が判決に不服で、東京高等裁判所に控訴しました。
東京高等裁判所でも半年程度審理が続きました。
審理の結果、元請の控訴は棄却され、元請も上告しませんでした。
その後、元請から判決で認められた金額を支払うとの連絡があり、請負報酬を回収しました。
3 弁護士のコメント・感想
請負契約においては、請負人が行うべき仕事の範囲が争いになることが珍しくありません。
弁護士は工事について専門的知見を有するわけではないので、建築の事件では依頼者と密にコミュニケーションをとることが大事です。
この事件では、依頼者と密にコミュニケーションを取り、図面や工程などを確認しながら、当方の主張を組み立てていきました。
解決に至るまで3年近くの期間を要しましたが、当方の主張が一部認められ、依頼者にも満足いただけました。弁護士としての、やりがいを感じることができる事件でした。
【解決事例】借地人からの建物買取の要請に地主側で対応した事例
この実績例に書かれている内容(目次)
1 ご相談概要
2 解決までの道のり
3 弁護士のコメント・感想
1 ご相談概要
ご相談者は、地主の方で、借地人に土地を貸していました。
このたび、借地人が、地主に対し、代理人弁護士を通じて、借地上の建物を買い取ってもらえないかという要請がありました。
地主の方も、借地を返してもらいたいというご希望をお持ちでした。
ただ、どう対応すればわからず、弁護士に法律相談を希望しました。
2 解決までの道のり
借地人は、借地契約の期間中途で、借地権や建物の買取を地主に要求する権利を持っているわけではありません。
しかし、借地契約の期間が満了してしまうと、借地人は建物買取請求権という権利を行使して、地主に借地上の建物の買取を請求できます。建物買取請求権が行使された場合、建物の時価額に、場所的利益(更地金額の1割~3割程度)というものを加えた金額を支払わざるを得なくなります。仮に、借地人の要求を断り、借地契約の期間が満了すると、建物買取請求権が行使され、相当程度の出費を余儀なくされるおそれがありました。
そこで、建物買取請求権が行使された場合よりも安く済むのであれば、早期に建物の買取りに応じた方が地主の方にとっても有利でした。
地主の方には、以上の法的な部分を説明し、ご納得いただきました。そして、弁護士が地主の代理人に就任の上、建物買取請求権が行使された場合よりも安い金額で建物を買い取れるよう交渉することになりました。
借地人代理人弁護士との交渉の結果、借地上建物の買取金額が決まり、書面を取り交わしました。
買取金額は、建物買取請求権が行使された場合より安価と思われる金額で済み、事件は解決に至りました。
3 弁護士のコメント・感想
建物を買い取ってほしい、借地権を買い取ってほしい、といった要望を受けたという地主の方は珍しくないでしょう。
こうした要望に対応するには、建物買取請求権という権利を行使された場合と比べて、どちらが得なのかを考える必要があります。
弁護士のアドバイスがなければ、判断が難しいでしょう。
建物を買い取ってほしい、借地権を買い取ってほしい、といった要望を受けてお困りの方は、ぜひオーブ法律事務所へのご相談をご検討ください。
【解決事例】他の入居者に迷惑行為を行う賃借人を退去させた事例
この実績例に書かれている内容(目次)
1 ご相談概要
2 解決までの道のり
3 弁護士のコメント・感想
1 ご相談概要
ご相談者はアパートを所有するオーナー様でした。
他の入居者へ迷惑行為を行う入居者を退去させてほしいとのことでした。
問題の入居者は、生活保護受給者であり、家賃滞納はありませんでした。しかし、他の賃借人に対し、食料品などを渡すよう要求したり、風呂を使わせるよう要求していました。
先行して不動産管理会社にも、暴力団と繋がりがあることを示唆する電話をかけてきました。
2 解決までの道のり
弁護士から早々に迷惑行為を中止するよう通知する内容証明郵便を発送しました。
間もなく、弁護士側にも賃借人から電話がかかってきました。迷惑行為をしていないという趣旨のことを、罵るような口調で話してきました。
生活保護受給者であることや生活歴から、暴力団との繋がりを示す発言はブラフ(虚偽)だと考えられたため、構うことなく訴訟の準備を進めました。
並行作業で、当職がアパートに赴き、被害を受けている賃借人の方々にお願いの上、被害状況を記載した陳述書を作成いただきました。
訴訟当日、裁判所で賃借人と対面しました。他の入居者の陳述書が出てきたのに観念したのか、退去する意向であると言い出しました。ただ、当方からは念のため判決言渡を求め、判決言渡に至りました。
その後も一刻も早い退去を目指したことから、強制執行を申立て、明渡しの催告を実施し、その後自主退去に至りました。
3 弁護士のコメント・感想
迷惑行為は迅速に対応しないと、他の入居者の退去による収入減を生じさせてしまいます。
家賃保証会社では対応が不可能な事件類型です。弁護士に相談して進めるほかありません。
弁護士自身も身の安全を確保しながら業務を進めることになります。
この事案は被害状況を記載した他の入居者の陳述書を作成した段階から、賃借人の態度が軟化してきた様子がありました。
迷惑行為は事前の証拠収集が大事です。
入居者の債務不履行については、早期に弁護士に相談しましょう。
【解決事例】ペット禁止マンションで野良猫に餌付けする賃借人を退去させた事例
この実績例に書かれている内容(目次)
1 ご相談概要
2 解決までの道のり
3 弁護士のコメント・感想
1 ご相談概要
ご相談者は千葉県内に複数のマンションの部屋をお持ちのオーナー様でした。
そのうちの1室で問題が発生しました。
ペット禁止にもかかわらず、入居者が野良猫に餌付けをしていたのです。
室内にも野良猫を連れ込み、室内は糞尿で汚れている状態でした。
入居者は生活保護受給者で賃料の滞納はありませんでした。
しかし、他の居室からもクレームが入る状況に至ったため、オーナー様も退去をご希望でした。
管理会社も居室に訪問して説得を試みましたが、全く話が通じない状況でした。
ガス料金を支払っていなかったのか、室内では炭を焼いて暖を取っていた様子もありました。
2 解決までの道のり
当職が聴取した具体的な入居者の発言内容に鑑みますと、
まともな対話は困難と思われましたので、すぐに訴訟を提起しました。
第1回口頭弁論に、入居者は欠席しました。
その後、裁判所は建物の明渡を命じる判決を言い渡しました。
しかし、入居者は退去せず、強制執行を申し立てることになりました。
明渡しの催告当日も、執行官とまともな対話が成立しない状態でした。
結局、明渡しの断行に至りました。
入居者は抵抗していましたが、行政・警察にも協力いただき、強制的な退去に至りました。
3 弁護士のコメント・感想
ペット禁止特約違反など、家賃滞納以外の債務不履行が問題となる事案では、入居者との対話すらままならないことがあります。
弁護士自身も身の安全を確保しながら業務を進めることになります。
この事案では裁判所で一悶着あるかと思われましたが、入居者が欠席したため、スムーズに進行しました。
仮に、相手方が出頭した場合であっても、訴訟提起前に荒れた室内の写真を入手できていたため、対応は可能でした。
この事案では、ペット飼育が他の入居者からのクレームにも発展していました。
入居者の債務不履行については、早期に弁護士に相談しましょう。
【解決事例】遠方に所在する物件について、家賃未納を理由とした建物明渡しを行った事例
この実績例に書かれている内容(目次)
1 ご相談概要
2 解決までの道のり
3 弁護士のコメント・感想
1 ご相談概要
ご相談者は、関東県外の一戸建住宅のオーナー様でした。
かつて関東県外にお住まいで、その間に、関東県外の一戸建を会社経営者個人に賃貸されていました。
その後、千葉県内に引越しをされました。
ところが、引っ越し後に家賃未納の問題が発生し、対応をご相談されました。
滞納の理由は、賃借人が経営する会社の事業不振のようでした。
訴訟提起の上、未払賃料の増大を防止する方策となりました。
2 解決までの道のり
まず、千葉県内で裁判ができるか検討しました。
しかし、物件所在地も、家賃振込先の金融機関の所在地も、関東県外の遠方地域でした。
そのため、物件所在地を管轄する遠方の裁判所に訴訟を提起しました。
1日に1本しか航空機が飛ばない地域であったため、宿泊の上、裁判に出頭しました。
賃借人は欠席したため、後日、建物の明渡しを命じる判決が言い渡されました。
判決言渡後、賃借人も観念し、物件を自主退去し、強制執行を経ずに建物の明渡しを実現することができました。
3 弁護士のコメント・感想
建物明渡しの訴訟の管轄は、原則として
①物件の所在地を管轄する裁判所
②家賃の支払場所を管轄する裁判所
のいずれかとなります。
家賃の支払場所は、金融機関への振込の場合、金融機関の所在地とされます。この事例のように、物件所在地も、家賃振込先の金融機関の所在地も遠方地域の場合には、その遠方地域を管轄する裁判所に訴訟を提起する必要があります。
強制執行で明渡しを実現すると、相当程度の費用を要します。この事例では強制執行を実施せずに済み、ご相談者に過剰な負担をかけずに済みました。裁判で明渡しの判決が言い渡されるということは、賃借人に相当程度のプレッシャーとなるようです。この事例はそのうちの一つでしょう。
【解決事例】家賃未納の飲食店を訴訟・強制執行にて退去させたケース
この実績例に書かれている内容(目次)
1 ご相談概要
2 解決までの道のり
3 弁護士のコメント・感想
弁護士の瀬川尚吾が取り扱った実績例のご紹介です。
今回は家賃未納の飲食店を訴訟・強制執行にて退去させたケースを取り上げます。
1 ご相談概要
ご相談者は、ビルを所有されているオーナー様でした。
ご相談者は、ビルの1階を、飲食店を営む法人に賃貸していました。賃借人法人の代表者は、外国籍の方でした。
ところが、飲食店の経営状態が芳しくなく、家賃の滞納に至っておりました。ご相談前にオーナー様自らが対処され、家賃支払を約束する念書などを取得されていました。しかし、結局、滞納が継続し、ご相談にいらした段階では、6か月以上、家賃が滞納している状態でした。
2 解決までの道のり
この事例は、法人が賃借人となっており、その代表取締役が連帯保証人となっているパターンでした。賃借人の飲食店経営は立ち行かず、現実問題、未払賃料の回収は困難でした。
そこで、建物明渡しを求める訴訟を提起し、早期の退去を目指すことにしました。
もし外国籍の代表者に日本語が通じない場合、訴訟を継続するにあたって、法廷での通訳人が必要でした。しかし、幸いにして、日本語が通じる方でしたので、通訳人は不要でした。
裁判では、賃借人は、家賃滞納の事実を認めました。ですが、家賃の弁済計画を立てるので、建物明渡しは猶予してほしいという主張を始めました。しかし、従前の経過からすると、賃借人法人が約束を守るとは思えず、当職はこれを断り、判決言渡を希望しました。そのため、後日、建物明渡しを命じる判決が言い渡されました。
その後は、強制執行に移行しました。強制執行の明渡しの催告当日、当職は執行官、執行業者、立会人と共に現場に臨場しました。賃借人法人の従業員は何も知らされていなかったのか、仕込み作業を行っていました。執行業者と協議の結果、大型の調理設備を撤去すると多大な費用を要することになるので、調理設備は断行当日に現地で売却して、賃貸人が買い取るという処理を行う予定としました。
賃借人はその後も自主退去しなかったため、明渡しの断行が実施されました。事前の打合せのとおり、大型の調理設備は賃貸人が現地でそのまま買い取って移動させないことになりました。細かい什器備品は廃棄処分となりました。
これらの過程を経て、明渡しが実現しました。なお、経済的合理性の観点から、未払賃料の回収を求める強制執行は行わないことになりました。
3 弁護士のコメント・感想
法人が賃借人の場合、代表者が連帯保証人となっているだけで、家賃保証会社がついていないことが珍しくありません。この場合、家賃滞納の問題を家賃保証会社任せにすることができません。しかし、オーナー様自らが対処することは難しく、徒に未納の家賃が増大してしまうかもしれません。
この事例も、弁護士への相談がもっと早ければ、明渡し実現までの未払賃料の金額を、より抑えることができたかもしれません。
余談ですが、強制執行の申立てを行ったあたりから、同種の飲食業者から、居抜きで借りたいという問い合わせが弁護士に来るようになりました。こういった話はすぐに出回るものなのかもしれません。後日、賃貸人の方は、既存の調理設備をそのまま利用できる飲食店の方に、賃貸されたようです。