事業用物件の賃貸経営を行うオーナー様からは、オフィス・テナント・店舗の賃料(家賃)の未納について、ご相談をいただくことがあります。
本ウェブページでは、オフィス・テナント・店舗の賃料(家賃)の未納ならではの注意点を解説します。
なお、本ウェブサイトには、賃料回収について説明する記事も別途用意しておりますので適宜ご参照ください(「賃料(家賃)の回収方法について」、「強制執行による賃料の回収について」)。
このページの目次
1 賃料が比較的高額
事業用物件の賃貸借は、居住用アパートやマンションに比べると、賃料が高額となる傾向があります。滞納による損害は多大なものになってしまいます。
また、後述のとおり、オフィス・テナント・店舗の場合、連帯保証人からの回収も困難となることが少なくありません。
早期の建物明渡を実現して、被害を抑える方向で動くことも考える必要があるでしょう。
2 連帯保証人が代表者個人の場合には回収が困難
滞納賃料の回収策として、連帯保証人からの回収が挙げられます。本来、連帯保証人からの回収は、賃料回収の重要な手段の一つです。
しかし、事業用物件の場合、会社名義で賃貸借契約を締結し、連帯保証人は代表者個人とされている場合が少なくないでしょう。
会社が滞納するケースは、往々にして、会社が経営不振に至っています。代表者個人も事業資金に充てるために個人名義の借入を繰り返し、多額の負債を抱えていることが少なくありません。
そのため、連帯保証債務の履行を求めたとしても、代表者個人に資力が無く、回収できないことがあるのです。
よって、事業用物件で滞納が始まった場合、早期に建物明渡を実現し、滞納による被害を抑えていくことが大事です。
なお、連帯保証人に対する請求にあたっては、オフィス・テナント・店舗に限らず、注意すべき事項があります。
詳しくは、本ウェブサイトの「賃貸借契約の連帯保証人への請求について」をご覧ください。
3 建物明渡請求に対して賃借人からの反発が強くなる可能性がある
私の経験上の感想ですが、事業用物件の賃借人は、居住用のマンション物件と比べて、強く明渡しに抵抗する印象があります。
事業用物件の賃料滞納の場合、既存店舗を明け渡すと、新規出店の資金的余裕が無いために、実質的に廃業となることが想定されます。
そのせいか、賃借人の抵抗が強くなり、あの手この手で引き延ばしを図ってくることがあり得ます。
明渡しが延びると、家賃未納が増大してしまいます。
弁護士に依頼の上、毅然とした態度で明渡しに臨むことも検討した方が良いでしょう。
4 まとめ
オフィス・テナント・店舗の賃料滞納を放置することは避けるべきです。
マンションやアパートに比べると、被害は高額となる傾向にあり、連帯保証人からの回収も失敗するリスクが高いです。
早期に弁護士に相談し、建物明渡を行うか否か検討しましょう。
ご相談されたいことがある場合には、是非、当事務所に法律相談の予約を取ってみてください。
※2023年1月執筆当時の情報を前提としたものです。
本記事の記載内容に関して当事務所・所属弁護士が何らかの表明保証を行うものではなく、閲覧者が記載内容を利用した結果について何ら責任を負いません。