賃料滞納による建物の明渡し請求を検討するべきタイミングはいつでしょうか。
オーブ法律事務所は、弁護士に建物明渡しの法律相談を始めるべきタイミングは、賃料滞納が2か月に至った場合であると考えます。
少し早いのではないかと、お考えの方がいらっしゃるかもしれませんが、本ウェブページの記事にて、理由を解説していきます。
このページの目次
1 1度目の家賃未納では賃貸借契約の解除はできない
判例上、賃料滞納を理由とした契約解除が認められるためには、単に賃料滞納の事実が認められるだけでは足りず、賃貸人と賃借人の信頼関係の破壊が必要とされています(最高裁昭和39年7月28日判決)。
判例・裁判例の相場観では、1度目の賃料未納が発生しただけでは、賃貸人と賃借人の信頼関係は未だ失われておらず、賃貸借契約の解除はできないとされます。
2 契約が解除できる目安は賃料滞納が3か月継続した場合
判例・裁判例の相場観では、賃料滞納が3か月継続した場合には、賃貸借契約を解除できる場合が多いとされています。
詳しくは本ウェブサイトの「家賃・賃料滞納を理由とした契約解除ができる場合」をご参照ください。
3 長期間の滞納に至ると後から回収するのは困難
家賃を長く滞納する入居者には、それなりの理由があります。
家賃滞納が3か月に至っているようなケースでは、失業や病気、経営難など、賃借人自身にもどうすることもできないような経済的苦境に陥っていることが大いに想定されます。
未払家賃の回収方法については、本ウェブサイトの「賃料(家賃)の回収方法について」、「強制執行による賃料の回収について」で取り上げています。
しかし、現実的には、回収に向けた活動が功を奏しないこともあります。
賃料滞納が1か月以内に収まっているようであれば、確実に賃料を回収することを重視するべきでしょう。
未納が3か月に至っているようであれば、早期に契約を解除し、損害の拡大防止を目指すことも考えなければなりません。
4 契約解除ができるのは滞納が3か月継続した場合だけれど、弁護士への法律相談は滞納が2か月継続した段階ではじめよう
賃料滞納が2か月にとどまる場合には、判例・裁判例の相場観ですと、必ずしも安全に契約を解除できるわけではありません(詳しくは本ウェブサイトの「家賃・賃料滞納を理由とした契約解除ができる場合」をご参照ください。)。
ただし、「2度あることは3度ある」という諺のとおり、2か月の家賃未納は3か月の家賃未納に発展する危険性を秘めています。
そして、家賃滞納が3か月に達してから初回の法律相談の予約を入れるのと、家賃滞納が2か月の段階で予め法律相談を行っておくのでは、後者の方がよりスムーズに明渡しに向けた手続を遂行できます。
そのため、オーブ法律事務所では、2か月の家賃未納の段階で予め弁護士への法律相談を始めることをお勧めいたします。
※2023年1月執筆当時の情報を前提としたものです。
本記事の記載内容に関して当事務所・所属弁護士が何らかの表明保証を行うものではなく、閲覧者が記載内容を利用した結果について何ら責任を負いません。