建物明渡請求を弁護士に依頼するメリット

1 確実性の観点からは、「訴訟」が優れた手段!

建物明渡請求を弁護士に依頼するメリットの一つとして訴訟を任せられるということが挙げられます。

確実性の観点からすると、訴訟は優れた手段です。他の手段と比較してみましょう。

(1)裁判外の示談では強制執行ができない

他の手段として、裁判外で、建物を一定期間内に明け渡すことを約束する旨の示談を成立させるといったものが挙げられます。

しかし、裁判外での示談に反して賃借人が退去を拒否したとしても、強制執行により強制的に退去させることはできません。示談に従った退去を求める訴訟を提起する必要があります。

(2)訴え提起前の和解も、和解前に反故にされるリスクがあり、メリットが小さい

他の手段として、訴え提起前の和解(即決和解)の利用が挙げられます。具体的には、

  1. 賃借人と事前協議して建物明渡しを含む和解条項を作成する
  2. 裁判所に所定の書類を提出する
  3. 裁判所に賃貸人と賃借人が出頭して、和解を成立させる

という流れです。裁判所での和解を守らないと、強制執行により強制的かつ合法的に賃借人を退去させることができます。一見すると、使い勝手が良い制度に見えます。 

しかし、所定の書類を裁判所に提出してから、裁判所で和解が成立するまでに1か月程度の期間を要します。

この間に賃借人の気が変わり出頭や和解を拒否することもあり得ます。この場合、訴訟を提起せざるを得ず、費やした時間が無駄になってしまいます。

一方、訴訟の場合も和解は可能です。第1回期日が指定されるまでの期間も、訴え提起前の和解と大差ありません。賃借人が和解を拒否すれば判決を取得できます。

比較すると、訴訟の方がメリットが大きいでしょう。

2 「訴訟」は優れた手段だけど、弁護士に頼まないと大変

(1)訴状などの書類作成が大変

確実に退去させるという観点からは、訴訟は優れた手段です。ただし、訴訟の場合には、訴状などの法的文書を作成する必要があります。インターネットで訴状の雛形を検索することは可能でしょう。

しかし、実際の事案に即した訴状を非専門家が作成するのは大変です。

(2)和解するか否かを判断することも大変

上述のとおり、訴訟でも和解は可能です。事案によっては裁判上の和解により自主的に退去させた方が良い事案もあります。

しかし、和解を成立させるべきか否かをご自身だけで判断することは難しいでしょう。また、和解条項とご自身の希望に齟齬が無いかの確認にも限界があるでしょう。

(3)強制執行も大変

判決に賃借人が従わない場合や、賃借人が裁判上の和解を守らない場合、強制執行という手段を用いて賃借人を退去させることになります。

しかし、強制執行の現場では、執行官から「これはどうしますか」と即座の判断を求められることが珍しくありません。非専門家の方の場合、判断に窮することになってしまうでしょう。

(4)「訴訟」は弁護士に依頼!

弁護士に依頼することで上記のハードルを解消することができます。弁護士に依頼するメリットの一つでしょう。

3 自分の時間を使う必要が無く、精神的負担も小さくなる

賃貸人自らが、退去の交渉や、本人訴訟を提起するとなると、相当程度の時間を費やすことになります。また、建物明渡しに限りませんが、交渉事はストレスが溜まります。

自ら賃借人と交渉するとなると、精神的な負担も多大なものとなるでしょう。

弁護士に依頼すれば、訴状の作成や裁判への出頭といった本人訴訟に伴う時間的負担は削減されます。

また、不安なことがあれば弁護士に相談できますので、退去にあたっての不安・ストレスも軽減されるでしょう。これらも弁護士に事件を依頼するメリットの一つです。

4 家賃滞納以外を理由とした建物明渡にも弁護士なら対応できる

家賃保証会社が対応可能な案件は、賃料滞納の案件に限られてきます。しかし、建物明渡のニーズがある案件は、賃料滞納に限りません。

例えば、賃借人がペット禁止アパートでペットを飼っている、他の入居者に脅迫まがいの行為を行っている、無断転貸が行われた、といった理由で建物明渡を希望される方もいらっしゃいます。

また、アパートの建替えを理由に、入居者の立ち退きを希望する方もいるでしょう。

弁護士は家賃滞納以外を理由とした建物明渡にも対応できます。これは弁護士に依頼する大きなメリットと言えるでしょう。

5 家賃保証会社が不在の場合、賃料未払を理由とした明渡についても、弁護士に依頼しない限り、自ら対応しなければならない

家賃保証会社が不在の場合、弁護士に依頼しない限り、賃貸人自らが退去に向けた交渉を行う必要があります。

不動産管理会社に交渉を依頼するというお考えの方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、不動産管理会社が退去に向けた交渉を行うことは、弁護士法第72条にて禁止される非弁行為に該当するリスクがあります。

そのため、家賃保証会社が不在の場合、建物明渡請求は弁護士に依頼するべきです。

6 違法な自力救済を行ってしまうリスクが無くなる

賃貸人自らが、退去を実現しようと思うと、賃借人を許せないという感情から、やり過ぎてしまうリスクがあります。

例えば、連帯保証人以外の家族に強引な取立を行うことは許されません。

また、無断で鍵を交換して荷物を廃棄すると、違法な自力救済と評価され、賃借人から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

弁護士に依頼すれば、違法な自力救済を行うリスクが無くなります。是非、依頼を検討してみましょう。

7 相続人不明などのイレギュラーな事態や高圧的な賃借人にも対応できる!

家賃保証会社を入れている契約であっても、家賃保証会社だけでは明渡しを実現することができない場合もあります。

例えば、賃借人が死亡して相続人が不明となった、賃料未払の有無に争いがあるといったイレギュラーな事案ですと、家賃保証会社では対応できない可能性があります。

弁護士に依頼すれば、相続人の調査が可能です。家賃保証会社が対応できない事案も弁護士に任せることができます。

また、賃借人の態度が高圧的で、家賃保証会社の担当者にも脅迫じみた言動を繰り返しているような場合には、家賃保証会社だけでは対応できないのではないでしょうか。

このような高圧的な賃借人に対しても、弁護士であれば対応が可能です。

オーブ法律事務所は建物明渡の案件に力を入れて取り組んでいます。入居者の退去を検討されている方は、是非、法律相談の予約を入れてみてください。

※2023年1月執筆当時の情報を前提としたものです。

本記事の記載内容に関して当事務所・所属弁護士が何らかの表明保証を行うものではなく、閲覧者が記載内容を利用した結果について何ら責任を負いません。

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